がん化学療法看護認定看護師の役割
がん化学療法は1990年代に多くの抗がん剤が登場し、治癒率は大きく改善するようになりました。特に2000年以降は分子標的療法が導入され、今まで以上に治癒率が高まることが期待されています。
しかし、がん化学療法は治療法が難解であることや、副作用に対応する必要が大きいこと、薬物の取り扱いに注意が必要であることなどから、専門性の高い看護師の存在が求められていました。
そんな現場の要望に応えるべく誕生したのががん化学療法看護認定看護師です。
がん化学療法看護認定看護師は専門的な知識を活かし、治療法に関する情報を家族に正しく伝えることや、副作用の対策や対応、薬物を正しく扱うことなどが主な役割です。
自らが最前線で看護を実践するだけでなく、がん化学療法に関わる他の看護師を教育することも重要な役割となっています。
がん化学療法看護認定看護師の授業内容
共通科目(90時間)
共通科目ではがん化学療法看護だけでなくすべての分野の認定看護師に共通する基本的な知識や技術を学びます。
「リーダーシップ」「文献検索・文献購読」「情報管理」「看護倫理」「指導」「相談」「看護管理」の7科目を履修します。
共通科目を通して認定看護師としての土台となる知識を学び、専門基礎科目や専門科目で得た知識を現場で活用できるようにするための能力を身につけます。
授業は講義形式だけでなく、グループワークを取り入れた参加型の授業が多く取り入れられています。がん化学療法看護以外の分野の受講生とも交流する場面があるので、多角的な視点で自分が選んだ分野を見つめる機会にもなります。
専門基礎科目(120時間)
がん化学療法看護を行う上で必要な腫瘍学や臨床薬理などの基礎となる知識を習得します。がんという病気や化学療法についてをはじめとし、薬物情報、症状マネジメントなどを学びます。
専門科目(150時間)
がん化学療法看護に必要な専門的な知識について学びます。
授業では、「がん化学療法薬の投与管理とリスクマネジメント」「疾患別治療および各レジメンの特徴」「副作用症状のマネジメント」「がん化学療法を受ける患者・家族の心理的・社会的アセスメント」「外来/在宅がん化学療法学療法」などを履修します。
演習(30時間)
抗がん剤の安全で確実な調剤の実施や、実際の投与場面を設定してがん化学療法薬の投与管理の演習を行います。
その他、文献から得られた知見を発表するプレゼンテーション、実習先の医療機関で目にした具体的な事例を報告するケースレポートなどを行います。
実習(225時間)
がん化学療法看護の実習は自施設実習と他施設実習の2種類があります。自施設実習では、がん化学療法薬の投与管理や調剤、患者インタビュー、相談対応などを行います。
他施設実習では、がん化学療法を受ける患者を受け持ち、専門性を活かした看護を実践します。講義で学んだ知識や技術を実際の看護の場面でいかに実践できるかが問われます。
学内ケースレポート発表会(全学科合同)
講義や技術演習、実習先の医療機関で学んだことをすべての学科の学生に共有する発表会です。
自らの発表の準備や発表を通じて、学んだことを振り返りまとめることができる機会になるだけでなく、他の学生の発表から多くのことを学ぶ機会になります。