訪問看護認定看護師の役割
厚生労働省が在宅医療を推進し、急性期病院の在院期間が短縮化している現在、訪問看護のニーズは年々増加しています。対象となる患者も多様化しており、医療機器を装着した状態での在宅移行や、終末期、独居、老老介護など、実に様々です。
そのことから、それを支える訪問看護師には訪問看護に関する幅広い知識と、患者一人一人に応じた個別性の高い看護が求められています。
訪問看護認定看護師はそうした現場で最前線に立って自ら専門性の高い看護を提供する他、訪問看護師の指導的役割も期待されています。
また、訪問看護は医療機関や地域などとの連携も非常に重要であるため、訪問看護認定看護師が調整役・コーディネート役として、様々な職種の関係者とのネットワークを構築し、リーダーシップを発揮することが必要です。
訪問看護認定看護師の現場
訪問看護認定看護師の人数は2013年9月現在で377人が認定登録していますが、訪問看護を求める患者の数を考えれば、まだまだ不足しています。
不足している原因には訪問看護師自体の不足により看護師一人一人にかかる負担が大きく、とても認定試験を受けれる状態にないということが、原因の一つとして考えられています。
現在登録している訪問看護認定看護師にはそうした勉強したくても勉強できない訪問看護師に対して勉強会や研修会を開催するなどして、指導的役割を果たすことが今後ますます重要になる他、医療機関や地域に対して訪問看護師の必要性を訴え、訪問看護師の数自体を増やすための取り組みも重要になります。
訪問看護認定看護師の授業内容
共通科目(105時間)
共通科目では訪問看護だけでなくすべての分野の認定看護師に共通する基本的な知識や技術を学びます。「看護管理」「リーダーシップ」「文献検索・文献購読」「情報管理」「看護倫理」「指導」「相談」の7科目(+選択教科3科目)を履修します。
共通科目を通して認定看護師としての土台となる知識を学び、専門基礎科目や専門科目で得た知識を現場で活用できるようにするための能力を身につけます。
授業は講義形式だけでなく、グループワークを取り入れた参加型の授業が多く取り入れられています。訪問看護以外の分野の受講生とも交流する場面があるので、多角的な視点で自分が選んだ分野を見つめる機会にもなります。
専門基礎科目(60時間)
訪問看護に必要な基本的な知識について学びます。
授業では「訪問看護概論」「安全管理」「家族支援概論」「在宅ケアシステム」「在宅医療病態論」などを履修します。
専門科目(195時間)
訪問看護に必要な専門的な知識について学びます。
授業では「ケースマネジメント」「在宅医療管理技術」「フィジカルアセスメント」「在宅におけるチームアプローチ」「セルフケアの援助」「在宅終末期ケア」などを履修します。
学内演習(60時間)
訪問看護が実践できるための技術演習の他、文献から得られた知見を発表するプレゼンテーション、実習先の医療機関で目にした具体的な事例を報告するケースレポートなどを行います。
実習(180時間)
教育機関から離れて1ヶ月半程度、近隣の医療機関で実習をします。
実習では看護計画の立案や記録をはじめとし、具体的な事例を報告するケースレポートも作成します。講義で学んだ知識や技術を実際の看護の場面でいかに実践できるかが問われます。
学内ケースレポート発表会(全学科合同)
講義や技術演習、実習先の医療機関で学んだことをすべての学科の学生に共有する発表会です。
自らの発表の準備や発表を通じて、学んだことを振り返りまとめることができる機会になるだけでなく、他の学生の発表から多くのことを学ぶ機会になります。