緩和ケア認定看護師の役割
生命を脅かす疾患をもつ患者は痛みや呼吸困難、倦怠感などの苦痛が伴います。
緩和ケア認定看護師は患者やその家族に対して、早期に身体的、心理的側面から対処し、QOL(人間らしく満足した生活を送れているかどうかの評価)を向上させるとともに、人生の終焉を迎える患者や家族が直面する葛藤、喪失、悲観に耳を傾け、その人らしい生き方を最後までケアすることが役割です。
看護師の指導や相談を通じて、病院全体の緩和ケアの質を向上させる役割もあります。
緩和ケア認定看護師には手術療法、化学療法、放射線療法に関する深い知識が必要になる他、終末期を迎えた患者さんに対する高度なコミュニケーションスキルが必要となります。
緩和ケアは医療の現場でも注目度が高まっている分野で、緩和ケア認定看護師の資格をもつ看護師は求人の場でも需要が多くあります。
これから看護師としてのスキルアップしてよりよい職場に転職しようと考えるひとにはおすすめの資格となります。
緩和ケア認定看護師の授業内容
共通科目(120時間)
共通科目では緩和ケアだけでなくすべての分野の認定看護師に共通する基本的な知識や技術を学びます。
「看護管理」「リーダーシップ」「文献検索・文献購読」「情報管理」「看護倫理」「指導」「相談」「臨床薬理学」の8科目を履修します。
共通科目を通して認定看護師としての土台となる知識を学び、専門基礎科目や専門科目で得た知識を現場で活用できるようにするための能力を身につけます。
授業は講義形式だけでなく、グループワークを取り入れた参加型の授業が多く取り入れられています。緩和ケア以外の分野の受講生とも交流する場面があるので、多角的な視点で自分が選んだ分野を見つめる機会にもなります。
専門基礎科目(75時間)
緩和ケアに必要な基本的な知識を学びます。
授業では「緩和ケア総論」「がんとがんの集学的治療」「症状マネジメント総論」「 喪失・悲嘆・死別」「がんの医療サービスと社会資源」などを履修します。
専門科目(195時間)
緩和ケアに必要な専門的な知識を習得します。
消化器官症状や呼吸器症状、リンパ浮腫などの症状別のマネジメントと援助技術の他、スピリチュアルケア、チームアプローチ、家族や遺族のケア、倫理的課題などについて学びます。
演習(60時間)
専門的な援助技術の習得の他、文献から得られた知見を発表するプレゼンテーション、実習先の医療機関で目にした具体的な事例を報告するケースレポートなどを行います。
実習(180時間)
教育機関から離れて1ヶ月半程度、近隣の医療機関で実習をします。実習は病棟実習と在宅実習に分けられ、病棟実習ではホスピス・緩和ケア病棟で、在宅実習では訪問看護ステーション、または、在宅療養支援診療所にて行われます。
病棟実習では患者を受け持ち、患者・家族への専門的援助の方法や看護師の相談・指導などの実践的な方法を学びます。
在宅実習では、患者宅に訪問して、対象者が充実した生活をおくるための看護について考えていきます。いずれも講義で学んだ知識や技術を実際の看護の場面でいかに実践できるかが問われます。
学内ケースレポート発表会(全学科合同)
講義や技術演習、実習先の医療機関で学んだことをすべての学科の学生に共有する発表会です。
自らの発表の準備や発表を通じて、学んだことを振り返りまとめることができるだけでなく、他の学生の発表から多くのことを学ぶ機会になります。